韓国、上半期の造船受注額が過去最高を記録

造船不況に苦しむ現代重工業〔AFPBB News

 韓国で1年以上も続いていた労使政の労働市場改革案を巡る協議が一応、2015年9月13日に合意に達した。関連法案の作成までには難航が必至だが、政府が最重要政策として掲げた労働問題に関して「半歩前進」したことは確かだ。だが、その一方で、自動車や造船業界では激しい「秋闘」が続いている。

 「スト参加者には、商品券を支給します」

 世界最大の造船メーカーである現代重工業の労組がこんな「スト参加インセンティブ(奨励策)」を導入した。

 現代重工業は、労使間の賃金交渉がこじれ、労組はスト突入を決めた。だが、「たたでさえ好待遇のうえ、造船不況で巨額の赤字を出している中でのスト」に対する世論の批判が強く、スト参加に消極的な組合員も多い。このため、スト参加者に対するプレゼントを決めたのだ。

 現代重工業は、1980年代には激烈な労使紛争で有名だった。労組と警察官の間で火炎瓶や催涙ガスが飛び交い、負傷者も続出していた。

 しかし、1990年代に入って急拡大を続けた造船事業に支えられて好調な業績が続き、高い賃上げが続いた。労組も経営側に協力する「労使協調モデル」の代表企業になっていた。

巨額赤字の現代自動車、それでも労組が強気な理由

 ところが、造船不況で業績が急速に悪化し、労使関係も一気に悪化した。2014年には賃金交渉がこじれ、20年ぶりに労組がストを打った。

 その後さらに業績が落ち込んだ。造船事業に加え、海上プラント事業も不振に陥った。2014年決算では3兆2500億ウォン(1円=10ウォン)もの巨額の営業赤字を計上した。