グループ支配権を巡る親子、兄第間のあつれきが表面化したロッテグループの重光昭夫(辛東彬=シン・トンビン、1955年生)会長が韓国の国会に証人として呼ばれた。一連の混乱に対して終始、低姿勢で乗り切ったが、意表を突く質問が出て、韓国内でも質問に対する批判が出ている。
韓国の国会には「国政監査権」がある。国政全般について、国会に「監査権」があるのだ。
財閥総帥に対する初の証人監査
法律制定権、予算決定権と並んで国会が持つ3大権限とも言われ、毎年、初秋のころに1カ月ほど集中審議がある。
2015年は、9月10日から、旧盆にあたる秋夕(チュソク)連休前後を除く実質16日間にわたって「国政監査」が開かれている。1987年の韓国の民主化で国会が獲得した重要な権限だ。
この国政監査に財閥総帥を証人として呼ぼうという声は前からあった。しかし、さまざまな理由や、財閥総帥の「欠席」で実現してこなかった。
2015年の国政監査で初めてこの「財閥総帥に対する証人監査」が実現した。
9月17日、国会の公正取引委員会国政監査に、重光昭夫会長が出席したのだ。一連のロッテの騒動で、財閥の支配構造の問題などが大きな社会問題となり、その監査のための証人召致だった。
韓国語にまだ少し問題があるということで隣にはロッテグループの韓国人の社長も同席したが、ほとんどの質問に重光昭夫会長が韓国語で答えた。
終始、韓国語で無難に答弁
「重光昭夫会長の韓国語」は韓国では大きな関心事の1つである。ロッテグループの日本法人の経営権を巡って、重光昭夫会長を実兄である重光宏之(辛東主=シン・トンジュ、1954年生)氏が批判した際、韓国のテレビに重光宏之氏が登場した。
すべて日本語で質問に応じたが、このことが「やはり、宏之氏がロッテグループの後継者になるのは難しいのでは」という印象を与えてしまった。