韓国の財閥オーナーは免税店が大好き――と言っても大金持ちたちが免税店での買い物を楽しんでいるわけではない。ビジネスとしての免税店だ。15年ぶりにソウル市内で新規免税店の出店許可が出るのを機に、韓国を代表する財閥が続々と名乗りを上げた。
2015年6月1日、韓国の関税庁は、ソウルと済州(チェジュ)島での新規免税店の出店申請を締め切った。ソウルでは大企業2社、中堅・中小企業1社、済洲島では中小企業1社を事業者として選定する。
中でも最も関心を呼んだのは、ソウル市内での大企業向けの新規出店申請だった。
2つの新規許可枠に、名乗りを上げたのは7グループ。その顔ぶれを見ると、韓国を代表する財閥がずらりと並ぶ。
申請を出したのは次の通りだ。
1) ロッテ免税店
2) 新世界グループ
3) SKネットワークス
4) イーランドグループ
5) ハンファギャラリア
6) 現代百貨店グループ
7) HCD新羅免税店
名乗りを上げた各財閥の思惑
ロッテ免税店は、すでにソウルに3カ所の免税店を持つ。市内中心部にあるロッテ百貨店の3フロアを占める免税店は日本人観光客にもおなじみだ。今回は、ファッション街として知られる東大門地区への出店を申請した。
新世界グループは、サムスングループから独立した流通財閥だ。ロッテの長年のライバルでもある。ソウル中心部の新世界百貨店の本館を免税店に衣替えする計画だ。ちなみにこの本館は日本の植民地時代の1930年に三越(当時)が建設した建物だ。
SKグループは、SKネットワークスが東大門地区に出店することで申請書を出した。韓国財閥3位であるSKグループは、傘下のウオーカーヒルホテルで免税店を運営しており、一気に事業拡大をもくろむ。