輸出に大きく依存する韓国企業が不振にあえいでいる(写真は韓国・蔚山の造船所)

 輸出立国を掲げ、貿易依存度が5割を超える韓国の輸出の不振が続いている。5月の輸出額は約6年ぶりに2ケタ減となった。主力製品の輸出がほぼ全域向けで不振だった。世界的な景気回復の遅れに円安が追い討ちをかけている。

 2015年6月1日、ソウルのホテルで尹相直(ユン・サンジク)産業通商資源部長官と中国の高虎城商務相が中韓自由貿易協定(FTA)に署名した。両国間の貿易拡大への期待は強い。

 だが、この日、産業通商資源部は、深刻な統計を発表した。「5月の輸出入動向」(速報値)だ。

 それによると、5月の輸出額は423億9200万ドルで前年同月比10.9%減だった。輸出は2015年1月に前年同月比1%減となり、マイナスに転じた。その後も2月3.3%減、4月4.5%減、5月8.0%減とマイナス幅がどんどん拡大し、ついに2ケタの減少になってしまった。

 輸出が2ケタのマイナスになったのは、リーマンショックの影響で世界景気が一気に冷え込んだ2009年8月以来、約2年ぶりのことだ。

輸出頼みの韓国経済、半導体とスマホ以外はほぼ全滅

 韓国経済はもともと「内需が小さく、輸出頼み」の構造だ。その輸出が不振で、2015年の経済成長率も2%台に落ち込むとの懸念が強まっている。

 輸出を品目別に見ると、半導体やスマートフォンなどは好調だった。半導体は、パソコン向けDRAMは不振だったが、スマホ向けのメモリーやシステム半導体の輸出が好調で、5月の輸出額は前年同月比4.8%増の51億4000万ドルだった。