2015年7月2日、韓国の中央銀行である韓国銀行は5月の経常黒字が86億5000万ドルだったと発表した。これで39カ月という過去最長期間の経常黒字を記録した。だが、韓国経済は輸出と内需不振に構造的な問題まで重なり、景況感が冷え込み、なかなか明るい展望が見えてこないのが実情だ。
韓国の経常黒字はここ数年、毎年過去最高値を更新している。
2014年は894億ドルに達したが、2015年はこれを大幅に上回るペースで黒字が積み上がっており、暦年で史上初めて1000億ドルを超えるという予想も出ている。
高度成長が続いた頃の韓国は、成長率は高かったが、部品、素材、生産設備を輸入に頼っており、経常赤字に悩んでいた。1000億ドルもの黒字など本当に隔世の感がある。
「不況型経常黒字」という厳しい現実
ところが、膨れ上がる黒字だが、経済に対する楽観的な見方はほとんど聞こえない。というのも、この膨張する黒字額だが、一皮めくると、厳しい現実があるのだ。
韓国銀行の発表の前日の7月1日、産業通商資源部が6月の貿易統計速報値を発表した。それによると、輸出も輸入も1月以降、今年になって6カ月連続のマイナスだった。1~6月の累計で見ると、輸出は前年同期比5%減、輸入は同15.6%減となった。
つまり、輸出も減少したが、輸入がそれ以上に減少して、結果として経常黒字の大半を占める貿易黒字が増えているということなのだ。6月の貿易黒字額は単月としては過去最大の102億4000万ドルだった。