韓国で最高の医療機関との評価を得ているサムスンソウル病院で中東呼吸器症候群(MERS=マーズ)感染者が続出している問題で、サムスングループのオーナー家の3代目である李在鎔(イ・ジェヨン=1968年生)サムスン電子副会長が2015年6月23日、謝罪会見を開いた。
この日の午前11時、ソウルの江南(カンナム)にあるサムスン電子本社。テレビの生中継カメラや300人の取材陣が詰め掛けた中、緊張した硬い表情の李在鎔氏が、用意していた原稿を取り出してゆっくりと読み始めた。
「私どものサムスンソウル病院でMERSの感染と拡大を防ぐことができず、国民の皆様に大きな苦痛とご心配をおかけしたことに対して、頭を下げて謝罪いたします」
こう切り出すと、壇上の横に出て、90度頭を下げた。
オーナー家3代目、47歳の誕生日に謝罪会見
「私どもは国民の皆様の期待と信頼にお応えすることができませんでした。私自身も惨憺たる気持ちです。責任を痛感しております・・・」
謝罪文を2分30秒間読み上げた李在鎔氏は、最後に「もう一度、心から謝罪いたします」と語ると、再び90度頭を下げた。
謝罪会見を開いたこの日は、李在鎔氏の47回目の誕生日にあたる。あえてこの日を選んだのか。重苦しい雰囲気の誕生日会見だった。
韓国を襲ったMERS。その最大の感染源がこともあろうか、サムスンソウル病院になってしまった。韓国政府が23日までにまとめた情報によると、MERS感染者数は175人だが、このうち85人がこの病院での院内感染だ。
感染者を多数出したこともあるが、病院側の初期の反応が悪く、韓国では強い批判を浴びてしまった。