韓国政財界で日本と同じ「失われた20年」入りを懸念する声が高まっている (c) Can Stock Photo

 「『失われた20年』はもはや他人事ではない。何とかしなければ大変なことになる」。最近、韓国の経営者や学者、エコノミストからバブル崩壊前後の日本の状況について質問を受ける機会がやたらと増えた。メディアでも日本型長期不況を懸念する報道が目立ち始めている。

 「韓国は、日本の『失われた20年』の前轍をそのまま踏もうとしている」

 2015年10月5日、韓国国会の企画財政委員会で与党セヌリ党の李漢久(イ・ハング=1945年生)議員がこう切り出した。

 発言内容を詳細に報じた「毎日経済新聞」によると、李漢久議員は、韓国経済がかつての日本と同じように長期的な低成長局面に入っていると指摘した。

日本の「失われた20年」の前轍を踏むのか

 李漢久議員が説明に使った資料によると、日本は1980年代には年平均4.6%経済成長したが、1990年代に1.1%、2000年代に0.8%に落ち込んだ。

 これに対して韓国は、1981年から「IMF危機」直前の1997年まで、年平均8.8%成長だったが、1998年~2012年に4.1%、さらに2012年~14年まで2.8%にまで急速に鈍化している。

 「日本経済の不振は、1990年代初めからはまず投資が不振に陥り、次いで90年代半ばからは消費不振が追い討ちをかけた。韓国は消費と投資がともに落ち込んでいる」と語った。

 それにもかかわらず、現在の韓国政府の対応が日本の前轍を踏んでいるというのが李漢久議員の主張だ。

 李漢久議員は「日本の前轍を踏まないためには、朴槿恵(パク・クネ=1952年生)大統領がかねて主張している4大改革(労働、金融、公企業、教育改革)などの構造改革を進めて潜在成長率を高める必要がある」と述べた。