これは、総人口5000万人の1割強に相当する600万人が居住する最大都市ヤンゴンと、古都であり第2の都市であるマンダレーにおいて、鉄道が公共交通機関としてほとんど利用されていないためだ。特にヤンゴンでは、600万人のうち1万人しか鉄道を利用していない。
しかし、日本では全国の交通需要の約6割を鉄道などの大量輸送機関が担っており、貨物の輸送にも鉄道が利用されていると聞いた。
私は今回、日本で新幹線や次世代型路面電車(LRT)、モノレール、バス高速輸送システム(BRT)などさまざまな都市鉄道に乗った。
新幹線は最初、あまりの速さに「これは飛行機ではないか」と思ったほど驚いたが、視察を通じて、「ミャンマーの鉄道も日本のように快適で、正確かつ安全に走行する交通手段として人々に利用される存在になってほしい」との思いを強くした。これは、鉄道運輸相としてではなく、ミャンマーの一国民としての感想だ。
われわれも今後、ミャンマーにおける鉄道の利用率の向上を目指し、ヤンゴン~マンダレー間の改良、ヤンゴン中央駅の改善、そしてヤンゴン環状線の改善の3本を柱に既存の鉄道の改善に取り組む予定だ。
いずれもすでに日本から経済的・技術的な支援をいただきつつ進めている。特にヤンゴンから20km区間では、日本人専門家の協力の下で保線に関する人材育成が行われているし、信号システムや運行システムの改良には借款や無償資金協力などの支援も活用したい。また、日本企業からも必ずや支援が得られることを信じている。
今回の訪日を通じ、日本の鉄道が、物理的な技術力のみならず、サービスやマネジメントの面も含め、トータルに優れていることを実感した。日本を模範にしつつ、ミャンマー鉄道のレベルアップを図っていきたい。
(つづく)
本記事は『国際開発ジャーナル』(国際開発ジャーナル社発行)のコンテンツを転載したものです。