ちなみに、空爆作戦に参加しているアメリカ軍航空機が1時間作戦飛行を実施するのにかかる費用は下記の通りである。

・F-16戦闘機:9000ドル
・FA-18戦闘機:1万1000ドル
・AV-8B戦闘攻撃機:1万3400ドル
・F-22戦闘機:2万1500ドル
・E-3早期警戒管制機:1万4200ドル
・E-8対地攻撃管制機:2万2800ドル
・RC-135電子偵察機:2万3200ドル
・KC-10A空中給油輸送機:1万5400ドル
・B-1B爆撃機:4万6500ドル

 ISIL空爆の出撃基地はクウェート、バーレーン、それにペルシャ湾上の空母などのため片道900キロメートルから1500キロメートルと長距離であるため、作戦行動時間は数時間に及ぶ。当然空中給油も必要になる場合が多い。したがって、航空機を飛ばすだけで巨額の費用がかかってしまうことは容易に理解できよう。

 投下する爆弾やミサイルももちろん安くはない。最も安価なGBU-31 JDAMといわれる誘導爆弾は1発あたり3万ドルであるが、民間人などへの攻撃を避けるためにより精密なピンポイント攻撃を可能にしたGBU-39精密誘導爆弾の場合は1発あたり21万4000ドルとされている。AGM-114ヘルファイアという対戦車ミサイルは1基あたり11万ドルであり、ペルシャ湾や紅海海上の米海軍艦艇から発射されるBGM-109トマホーク長距離巡航ミサイルは1基あたり100万ドルである。

 もちろん、空爆作戦に参加しているアメリカ軍以外の有志連合国も米軍ほど多数の航空機は参加させていないものの、参加している戦闘機や投下している爆弾はアメリカ軍と共通であるため、空爆のランニングコストそのものはアメリカ軍と大差はない。

 以上のように空爆作戦に参加している有志連合国の軍事支出は巨額にのぼっている。

必要なのは“まとも”な地上部隊の投入

 それでは、多数の航空機と莫大な費用をかけて継続されている対ISIL空爆作戦は目覚ましい成果を上げているのであろうか?