2014年3月31日、韓国サムスングループでリチウム電池事業などを手がけるサムスンSDIが、繊維事業を発祥として今は電子部品を手がける第一毛織を合併すると発表した。そのわずか2日後の4月2日には、サムスン総合化学によるサムスン石油化学の合併も発表した。
絶好調と言われるサムスングループで何が起きているのか。
わずか1週間で2件のグループ内合併劇は、韓国の産業界でも大きな話題となった。まずは2件の合併を整理しておこう。
サムスンSDIと第一毛織、「これからの収益源」を育成
サムスンSDIは、リチウムイオン電池や太陽光パネルなどを生産している。1970年にサムスングループとNECが合弁で設立したブラウン管製造会社、サムスン電管が前身で、その後、合弁を解消してプラズマパネル、2次電池メーカーに生まれ変わった。2013年の売上高は5兆160億ウォン(1円=10ウォン)で、電子関連グループ企業では、サムスン電子を除くと中核企業の1つだ。
一方の第一毛織は、1954年の設立。サムスングループでは、1938年設立のサムスン商会を発祥企業とするサムスン物産、1953年設立の第一製糖(その後、グループから分離して現在はCJ)とともに3大母体企業とも呼ばれる。
繊維やファッションが主力で、東レとも合弁会社を設立して技術とともに経営ノウハウを習得してグループ全体に広げたこともある。ここ数年は、電子素材などの売り上げが増え、2013年秋にはファッション事業をサムスンエバーランドに売却していた。2013年の売上高は4兆4110億ウォンだ。
両社の合併はだから、2013年秋に第一毛織が「創業事業」であるファッション事業を売却して電子素材メーカーに転身したことに端を発する。
サムスンSDIの主力事業は、サムスングループの電子関連事業のこれからの有望事業でもある2次電池だ。リチウムイオン事業では日本企業を追い越して世界シェア1位になったが、「電気自動車用バッテリー」など巨大市場での競争はこれからだ。第一毛織は、電池用素材なども主力事業として育成しており、両社を合併させて、この電池事業をさらに強化することが狙いだ。
2014年7月1日に発足する合併会社、サムスンSDIは売上高と時価総額が10兆ウォン前後、従業員数が2万人の規模になる。グループ内では、サムスン電子、サムスンディスプレー、サムスン物産、サムスン重工業に次ぐ5番手となる。
これだけの企業を誕生させるということは、グループ内で2次電池や電子関連素材事業を「これからの収益源」に育てたいという強い意欲の表れだろう。