韓国公正取引委員会は2014年4月1日、恒例の大企業グループ資産規模ランキングを発表した。トップがサムスングループ、2位が韓国電力公社など上位の顔ぶれはここ数年変わらないが、内容をよく見ると、最近の韓国の産業界で起きている構造的な変化が浮かび上がってくる。

 ランキングは、正式には「相互出資制限企業集団指定現況」という。公取委は、資産規模5兆ウォン(1円=10ウォン)以上の企業グループを毎年選定して、グループ内企業間の相互出資や債務保証を禁止し、系列の保険会社に対する議決権行使も制限するなど規制している。このランキングは産業界では「財閥ランキング」とも呼ばれ、時に財閥総帥のメンツをかけた規模拡大競争の「ネタ元」にもなっている。

 上位グループの顔ぶれを見ると、1位サムスン、2位韓国電力公社は2013年と変わらず、3位に現代自動車が躍進、韓国土地住宅公社が代わって4位になった。以下、SK、LG、ロッテ、ポスコ、韓国重工業、GSなどで上位グループの顔ぶれは変わっていない。

 流通大手の新世界は、資産規模ランキングで21位から19位に上昇した。 

 2014年に資産規模が5兆ウォン以上だったのは63グループ。前年よりも1つ増えた。新たに5つのグループが「資産5兆ウォン以上」となり、4つのグループが外れた。

 まず、ランキングから外れたグループを見ると、東洋、韓国投資金融、STX、熊津の4つだ。このうち、韓国投資金融は「金融業専業」と見なされ、公取委の規制対象から外れた。

「消えた」有名グループ、熾烈な淘汰を反映

 残りの3グループは、いずれも経営危機に陥った。サラリーマンから財閥オーナーに華麗なる転身を遂げた会長が率いたSTXは、造船不況で業績が急速に悪化し、系列企業の売却が続いた。百科事典のセールスマンから身を起こし財閥総帥に転身した会長が率いた熊津も、無理な拡大策が裏目に出てグループ解体に追い込まれた。

 東洋は、経営が悪化していたにもかかわらず系列企業のCP(コマーシャルペーパー)を大量に発行して一般投資家に販売し、グループ解体とともにオーナー会長の経済犯罪が追及されている。

 わずか1年間で、韓国でも有名なグループが3つ「消えた」こととなり、韓国の財閥の間でも熾烈な淘汰が起きたことが分かる。