「日本人よ海外でもっと活躍しよう」を合言葉に、海外で活躍する日本人を有機結合させる組織、「野武士の会」が先週末、何と300人もの参加者を集めてフィリピンのセブ島で開催された。300人のうち200人は語学留学していたりボランティアに来ていたりする学生。残りの100人が企業家とその仲間の大人たち。
大盛況だったセブ島・野武士の会
学生たちは約30分交代で席を替わり、酒を交わしながら何人もの大人たちと熱く意見を交換していた。話の内容は千差万別だったが、とにかく学生たちは熱帯にあるフィリピンの気温より熱かった。
彼らと話をしていると、日本の学生が内向き志向だなどという報道はいったい何を根拠にしているのかと疑いたくなる。
「アジアが日本を育てる」。私がその昔、日本最大の経済誌にいたときに企画した特集が、大きな現実になっている姿を見て、何だかとてもうれしくなった。
実際、アジアを目指す学生は年々増えているそうだ。海外への人材紹介では最大手のJACリクルートメントの今野俊明さんは次のように話す。今野さんは同社シンガポールオフィスに100人いる就職コンサルタントの1人だ。
「このところ、毎月コンスタントに150人以上の日本人がシンガポールに求職に来るようになりましたね」
「約1週間ほど滞在して数社を回り、実際に就職が決まるのは3分の1程度の方々ですが、日本からの問い合わせは日増しに多くなっています」
JACはその他のアジア諸国にもオフィスを構えているが、とりわけ日本人に人気なのがシンガポールだという。きれいで豊かな環境が日本人を惹きつけるのだろう。
そしてもう1つ、住環境以外に大きな理由があると今野さんは言う。欧米の有力企業がアジアの拠点をシンガポールに移していることだ。
「プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)などのように欧米の有力企業がアジアのヘッドクォーターを日本からシンガポールへ相次いで移しています。東京は生活コストが高いうえに、アジア全体を見たときに東にありすぎる」