中国のミサイルの脅威に対する警告が再び米国当局から発せられた。いまの中国は全世界で最も活発にミサイルの開発、配備を進めている国だというのである。その結果として日本の安全保障にも、深刻な危険が迫りつつあるという。
米国空軍の「国家航空宇宙情報センター」は「2013年度 弾道・巡航ミサイル評価」という報告をこのほど作成し、公表した。
この報告の基礎情報は国防情報局と海軍情報室から得たという。報告は米国の安全保障に大きな影響を与え得る対象として中国、ロシア、イラン、インド、パキスタンの諸国のミサイルの状況を調査し、分析した。それを踏まえた結論として、以下の点を強調していた。
「中国は、いまの世界で最も活発で最も多様な弾道ミサイルの開発計画を進めている。中国軍は攻撃的なミサイルの実験を重ね、ミサイルのシステムを質的に向上させるとともに、ミサイル防衛に対抗する方法をも発達させている」
国際的な規制を受けずミサイルを増強し放題
報告は、中国のミサイル増強の最新の動きとして以下の諸点を挙げていた。
(1) 中国人民解放軍は射程150キロから800キロまでの短距離弾道ミサイルを特に集中的に増強し始めた。その短距離弾道ミサイルの種類は13に上るが、中国軍は最近、固形燃料のプロペラシステムによる高度のミサイルの開発に特に力を入れ始めた。短距離ミサイルのうち1200基ほどは台湾を標的にしているが、その一部や中距離ミサイルは沖縄の米軍基地や自衛隊基地をも主要標的としている。
(2) 中国軍は、米海軍の空母など大型艦艇が有事に中国方面へ到来することを防ぐ「接近阻止」に力を注ぎ、特に中距離弾道ミサイルのDF21D(射程1500キロ、海上航行中の空母など大型艦艇攻撃用)の実戦配備を終えた。その結果、西太平洋全域のパワーバランスが変わり始めた。中国軍は同時に、精度の高い対艦用中距離巡航ミサイルCJ10などを国内生産で完成させ、有事の米軍艦艇の接近を阻む能力を急速に高めてきた。