(英エコノミスト誌 2013年8月17日号)

中国経済は非効率的だが、不安定ではない。

 「ほんの少し前、我々は中国人のことを恐れていた」。ポール・クルーグマン氏は最近、米ニューヨーク・タイムズ紙への寄稿でこう述べた。「今は中国人のために心配している」。同氏をはじめとする多くの著名評論家は、世界第2の規模を誇る中国経済に危機が訪れるのではないかと気に懸けている。

 こうした評論家の懸念は、3つの指標に要約されているようだ。まず、経済成長率が以前の2ケタペースから7.5%に鈍化している。投資比率は依然として持続不能な高水準にあり、国内総生産(GDP)の48%を超えている。それと同時に、負債比率(中国の企業、家計、政府の借金の総額)が危険なほど上昇しており、一部にはGDP比200%に達するという試算もある。

減速が鮮明な中国経済

 経済成長率に関する懸念は、8月に入り若干和らいだ。貿易、さらには鉱工業生産(7月の値は前年同月比で9.7%増だった、図参照)について力強い数字が発表されたためだ。

 だが、景気循環によるアップダウンはあるものの、中国の勢いが減速していることは疑いようがない。

 インフレを起こさずに成長できる経済成長スピードの上限を定めているのは、中国の労働者、資本、ノウハウを合わせた複合的な生産能力だ。また、この生産能力により、余剰生産能力の発生と失業者の増加を避けるために必要な成長速度も決まってくる。

 最新の数字によれば、持続可能な成長速度は、中国経済が猛進していたころの10%というペースよりも、現在の値である7.5%に近い。

 多くのエコノミストにとって、こうした構造的な減速は必然的かつ歓迎すべきものだ。この減速は中国の成長モデルの進化を示すもので、同国は先進国との技術格差を縮め、これまでよりも多くのリソースをサービス分野に投じつつある。だがクルーグマン氏は対照的に、この減速が中国の成長モデルを滅ぼしかねないと考えている。

クルーグマン氏の主張は正しいのか?

 クルーグマン氏によれば、中国は「余剰農民」を使い尽くしてしまったという。これまでは、地方から工場や都市への労働者の大量流入により、賃金が低く抑えられ、投資収益率が高く保たれてきた。この流入が減速し、一部では逆流も始まっている。

 従って、中国はもはや、単に農村から出てくる新たな労働者に資本を割り当てるだけでは、成長を維持できなくなっているというのだ。