8月15日にNHKが放映した「戦後68年 いま“ニッポンの平和”を考える」という番組が、北米の日本語放送でも放映されていた。
全体としては中途半端なとりとめのない“討論”内容であったが、筆者が看過できなかったのは、歴史家の半藤一利氏による国防に関する発言である。司会者が半藤氏に発言時間を多く割り振ったためか、半藤氏による「近現代史を学べ! きちんと日本の近現代史を学べば、日本の地形は軍事力によっては守れないことが明らかになる。日本の防衛のために軍事力を強化する必要などない」という主張が目立った形となった。
半藤氏が唱える日本の国防の特殊性
半藤氏は以下のような趣旨の主張を述べていた。
・日本の近現代史を学べば、周囲を全て海に囲まれて海岸線が長く、中央部に山脈が走る細長い島国である日本はどこにも逃げ場がなく、軍事力によっては防衛できないことが明らかである。
・軍事力では守れない地形の日本をいかにして防衛するのか知恵を絞った政治家や軍人たちは、明治・大正・昭和と外へ出て防衛しようとしたのである。
・きちんと歴史を勉強すれば、日本は軍事力ではなく外交力で守るしかないということが明らかである。それにもかかわらず、日本は軍事力で守れる、軍事力を強化しようなどという議論が巻き起こっている。
・軍事力では守れない日本は外交力で守らなければならない。(軍事力強化ではなく)平和主義というものを世界に広げていくのだという気持ちになった方が、日本の平和を守れるようになる。
それに対して「戦後60年間、日本が平和だったのは、平和憲法があったからではなく自衛隊が一生懸命努力してきたことと、強固な日米同盟が存在したこと、すなわち軍事力があったからである。・・・軍事力だけで守れるとは思わないが、軍事力も有効な手段の1つである」との反論がなされた(岩田氏)。