「食の正論」で家庭は崩壊~超現実的食育のススメ~

味の社会学(第1回)

2013.08.20(Tue) 菅 慎太郎
筆者プロフィール&コラム概要

 世の中の「食のトレンド」を追いかけ、その背景を探る筆者にとって、「食のトレンドの変遷」とは、単に趣味嗜好が変わったというレベルのものではない。実は「家族の問題」や「社会構造の変化」も市場トレンドに大きく影響すると見ている。

 2010年の国勢調査において、世帯構成における単身世帯、すなわち、「おひとりさま」が3割を超え、日本の世帯構成の最も多い世帯の形となったことは記憶に新しい。まわりの人々を見わたしてみても、若年層の未婚者、求婚者が多く目につき、高齢社会によって、死別、離別は増えており、「一人暮らしの高齢者」も身近に存在している。

世帯人員別の総数(平成22年国勢調査より)

 上記は、国勢調査の「世帯人員別(平成22年)」の総数をグラフ化したものだが、「1人」世帯が1678万世帯で1位、続いて「2人」世帯が1412万世帯で2位。世帯総数が5184万世帯ある中で、「1人、2人」の世帯だけで3090万世帯となり6割を占めている。

 結果として、消費トレンドにおける「世帯の必要量」はもはや「大量消費」型ではなく、「少量多頻度」型にシフトせざるを得ない。

カット野菜は誰にも「おいしく」ない

 さて、そんな「おひとりさま」が増えることで、食を取り巻くトレンドはどんな変化が起こるのだろうか。

 単純には、「少量・小サイズ」志向が高まるということだが、スーパーの生鮮売り場を見れば分かるように、キャベツや大根がいままで1個、1本売りだったところから、キャベツは半分や4分の1サイズ、さらには「キャベツ千切りのカット野菜」と用途別に最小化される傾向が強まっている。また大根も「半分」やプラカップに入った「大根おろし」など、素材を合わせる、組み立てるだけの形状での販売、「食材のキット化」が進む。

 しかし、加工調理は利便性を高めるメリットがあるだけではなく、デメリットも多い。

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株式会社味香り戦略研究所 味覚参謀、口福ラボ代表
1977年埼玉県生まれ。味覚コンサルタント&コピーライター。「おいしさ」の表現を企画する口福ラボを主宰し、味香り戦略研究所では「味覚参謀(フェロー)」としてマーケット分析、商品開発を手がける。キッズデザインパーク講師。日本味育協会認定講師。渋谷珍味研究会顧問。鹿児島市新産業連携創出WGアドバイザー。


食の万華鏡

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