東京ほどではないが、ソウルの夏も暑い。8月初めに長梅雨が明けると、8月7日以降は連日最高気温が32~33度に達し、最低気温も30度近い「熱帯夜」が続いている。これに追い討ちをかけているのが、もはや夏と冬の年中行事になってきた「電力不足」だ。
韓国政府は、8月12日から休日(光復節=独立記念日)前の14日までの3日間を電力需給が最も逼迫する「魔の3日間」として節電を強く呼びかけた。何とかこの期間は乗り切ったが、「電力不足」は構造的な問題で、当面、改善の兆しはない。
綱渡りの電力需給、政府が緊急会見で強力な節電を要請
2013年8月11日。日曜日にもかかわらず、尹相直(ユン・サンジク)産業通商資源部長官は異例の緊急記者会見を開いた。梅雨明け以降続く猛暑で「8月12日から14日が電力需給の最大の危機だ」として、産業界や一般国民に「強力な節電対策」を要請した。
この日明らかにした電力需給見通しは、まさに「綱渡り」だった。韓国の電力設備容量は8552万キロワットだが、部品の安全認証が偽造されていることが相次いで発覚して原発6基が停止に追い込まれたことなどがあり、実際の電力供給能力は7700万キロワット前後に落ち込んでいた。
これに対して最大電力需要は「8000万~8050万キロワット」と予測した。つまり287万~347万キロワットもの「電力不足」が発生するというのだ。
韓国では2011年9月15日に残暑で予備電力が急落し、全国で相次いで大規模停電が発生したことがある。このままいけば「ブラックアウト」の恐れもあると見て、産業通商資源部長官が異例の会見に臨んだのだ。
会見の前後に、長官と産業通商資源部の幹部が手分けして韓国の大企業のCEO(最高経営責任者)に次々と電話をかけた。「重大事態」だとして、12日月曜日以降の工場やオフィスでの「強力な節電」を要請したのだ。
「規制違反大企業リスト」を公表する徹底ぶり
「官公庁ではエアコンや空気清浄機の使用を厳禁する」――。長官は併せて、こんな通達を出した。
それだけではない。「電力需給が危機的状況であるにもかかわらず一部大企業は節電規制を無視」――。産業通商資源部はこの日、こんな刺激的なタイトルが付いた報道資料を発表した。