白井 廃棄物の処理で一番お金がかかるのは物流です。全体の7割が物流費で、中でも最初にゴミを集めるところが最大のコスト要因になっている。

 だから集めて回るのではなく、持ってきてもらうことの意味はとても大きいんです。アメリカでは「ドロップ・オフ」と言うんですけど、これを応用すれば携帯電話などの未利用資源をリサイクルする道が開けます。持ってきてくれるのなら、多少なりともお金を払って買い取れますから。

リサイクル先進国は資源ゴミを分別せずに集めている!?

滝口 これもアメリカの現状を知ってのことですが、ゴミの分別をやめようというイベントをやったりもしています。

川嶋 今の日本でそんなことを言ったら悪者になるのでは?

滝口 某区役所の人に「仕事がやりにくくなるよ」と脅されました(笑)。確かに、分別をやめた方がいいとは断言できませんが、分ければ分けただけトラックが走り回って物流費がかかる、CO2をまき散らす、という面があるのも事実です。

 地域によっては、ペットボトルなど燃えるゴミにした方がいい場合もあります。

 エコキャップでワクチンを寄付できるという話がありますが、実はこれも考え物です。90リットル入りの袋に詰め込んでも100円くらいにしかならないのに、その袋を運ぶ宅配料金は600円も700円もかかります。最初から宅配料金を寄付した方がいいんですよ。

白井 アメリカではビンから缶、ペットボトル、新聞・雑誌まで「リサイカブル」という括りで一緒くたです。ヨーロッパもそうですが、ゴミ処理の前半戦ではあえて分けず、後半戦でプロが分けている。

 日本もこれに倣って物流を効率化することこそ、最もエコな選択だと私たちは考えています。

 物流コストが膨れ上がる原因を辿ると、規制の厳しさ、中でも業者のライセンスが細分化されすぎていることに行き着きます。

 家庭ゴミと事業ゴミが分かれているのはもちろん、事業ゴミでも業種、モノ、地域などによってそれぞれライセンスが違う。結果、ろくに荷物を積んでもいないトラックが何台も街を走り回ることになるんです。

滝口 リサイクルがモラルに支えられていることも問題だと思います。

 本当はペットボトルの周りのシートなんて剥がさなくていいし、ホチキスの針もわざわざ取らなくていいのに、みんな義務感で面倒なことをしている。もっと自然な流れでリサイクル率が高まる方向に持っていく必要があります。

川嶋 何も知らずに多くの人が「常識」に従っている現状は、われわれメディアとしても看過できませんね。