昨年12月29日、フロリダ州パームビーチのマール・アー・ラゴで記者会見したイスラエルのネタニヤフ首相と米国のトランプ大統領(写真:AP/アフロ)
2月28日、イスラエル軍と米軍がイランを攻撃し、イランの最高指導者ハメネイ師や政府要人多数を殺害した。イランは反撃し、イスラエルのみならず、米軍基地のある湾岸諸国も攻撃した。とりわけ、石油やLNG関連施設を攻撃し、世界経済へ悪影響を与えることによって、抵抗している。
この戦争がいつまで続くのか。そして、どのような形でも停戦するのか。また戦後のイランの体制はどうなるのか。原油価格高騰など、世界経済への影響も懸念されている。
イランが諦めなかった核開発
まずは、攻撃の理由とされたイランの核開発の現状についてみてみよう。
2015年7月、米英独仏中露6カ国とイランが、イランの核開発の制限と経済制裁の解除を決めた核合意をまとめ上げた。
具体的には、核兵器を作れないように、ウランの濃縮度の上限を3.67%とし、貯蔵量は300キログラム未満とした。原子力発電に使用されるのは、濃縮度3〜5%のものである。核兵器には、濃縮度90%以上のウランが使われる。
ところが2018年5月に、第一次トランプ政権は一方的にイランとの核合意から離脱し、経済制裁を再開した。これに反発したイランは、核開発を再開した。現在イランは、60%濃縮ウランを製造しており、濃縮度をさらに上げれば、核爆弾6個を製造できるという。60%から90%に引き上げるのは、容易にできる。
2021年1月に発足したバイデン政権は、核合意の再建を実現できないまま退陣した。
ライシ大統領の事故死を受けて行われた2024年の大統領選では、7月の決選投票で、国際協調を唱える改革派のマスード・ペゼシュキアン元保健相が、保守強硬派のサイード・ジャリリ元最高安全保障委員会事務局長を破って当選した。
この選挙結果の背景には、保守強硬派政権への国民の不満がある。米欧の制裁で物価が高騰し、生活が苦しい国民は変化に期待したのである。
ペゼシュキアンは、核合意の再建と経済制裁の解除を公約に掲げ、それが当選につながったのである。イランでは、年平均30〜40%のインフレが続いており、国民は経済制裁の解除につながる外交努力を支持したが、成果は出なかった。
