この攻撃でイランの核開発能力に壊滅的な打撃を与えたのなら、8カ月後の今回、再攻撃する必要はなかったはずである。当時、トランプは、「施設は完全に破壊された」と断言していた。彼の発言はコロコロと変わるので、信用できない。
トランプの念頭にあるのは、秋の中間選挙で勝つことである。しかし、イラン攻撃前の支持率は4割で、不支持率が6割という状況であった。さらに、エプスタイン文書が大きな政治的問題となっており、クリントン元大統領夫妻も議会で証言を求められた。民主党側は、トランプも証言すべきだと攻勢を強めた。この問題から逃れるためにも、「戦争」という手を使ったのではないかと疑いたくなる。
トランプの誤算
トランプは、イランを攻撃することによって多くの「成果」、「成功」を期待したが、思い通りには行っていない。
3月1日公表のロイター/イプソス調査によると、イラン攻撃を支持する米国民は27%で、支持しない人は43%である。2月28日と3月1日に行ったCNNの世論調査では、支持は41%、不支持は59%である。イラン攻撃は大統領の支持率を上昇させていない。
トランプは、ベネズエラでの軍事作戦の成功を容易に繰り返すことができると考えたようである。しかし、ベネズエラ(人口約2700万人)と違ってイラン(人口約9000万人)は大国である。世界の軍事力ランキングでも、前者は51位、後者は16位である。
それだけに、イスラエルや湾岸のアメリカの同盟国に対して、反撃を展開している。米軍兵士にも死傷者が出ている。ベネズエラ奇襲のときのように、すぐに終わる作戦ではない。
トランプは、作戦がいつ終了するかの見通しを述べていない。目的を達成するまで継続すると言うが、では目的は何なのか。核兵器開発阻止は明確だが、それは、核関連施設を破壊すれば済む。現体制を転覆させ、民主政治に移行するとも言っていた。
しかし、ハメネイ師殺害の後、穏健な後継者なら認めるとも言っている。まさに支離滅裂である。ルビオ国務長官は、体制転換は目的ではないと述べている。政権内で方針がまとまっておらず、その場その場の対応のようである。