「カナリアはまだ生きている」
レポートは最後にこう語りかけている。「あなたはこれを2028年6月に読んでいるのではない。2026年2月に読んでいる。S&Pはまだ最高値圏にある。負のフィードバックループはまだ始まっていない」。
そして末尾に記された一文はこうだ。「カナリアはまだ生きている(The canary is still alive)」。かつて炭鉱作業員たちは、坑道にカナリアを連れて入った。有毒ガスが発生するとカナリアが先に倒れるため、危険を早期に察知できたからだ。
レポートの著者自身「このすべてが現実になるとは考えていない」と明言している。しかし個々のパーツ、すなわちSaaS企業の値崩れ、AIエージェントの商取引参入、ホワイトカラー雇用への圧力は、2026年の今、すでに現実に進行中だ。
自分のキャリア、自分の投資、自分の会社のビジネスモデルは、「人間の知性が希少である」という前提にどの程度依存しているか。その前提を点検する最良のタイミングは、カナリアが元気なうちだ。
小林 啓倫(こばやし・あきひと)
経営コンサルタント。1973年東京都生まれ。獨協大学卒、筑波大学大学院修士課程修了。システムエンジニアとしてキャリアを積んだ後、米バブソン大学にてMBAを取得。その後コンサルティングファーム、国内ベンチャー企業、大手メーカー等で先端テクノロジーを活用した事業開発に取り組む。著書に『FinTechが変える! 金融×テクノロジーが生み出す新たなビジネス』『ドローン・ビジネスの衝撃』『IoTビジネスモデル革命』(朝日新聞出版)、訳書に『ソーシャル物理学』(草思社)、『データ・アナリティクス3.0』(日経BP)、『情報セキュリティの敗北史』(白揚社)など多数。先端テクノロジーのビジネス活用に関するセミナーも多数手がける。
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