防衛政策において日本がここまで「普通の国」になるとは
日本の防衛政策の基本を定めた「国家安全保障戦略(NSS)」、「国家防衛戦略(NDS)」(旧「防衛計画の大綱」)、「防衛力整備計画(DBP)」(旧「中期防衛力整備計画」)は、2022年12月に改定されたが、2026年にはまた改定される予定である。
さらに、防衛費をGDP比2〜3%にまで引き上げるという。
また、武器輸出については、救難、輸送、警戒、監視、掃海に限る5類型を撤廃する方針である。すでに、「国際共同開発・生産」の枠組みで、オーストラリアには「もがみ型護衛艦」を輸出したり、イギリス、イタリアと戦闘機の共同開発をしたりしている。
これらは、防衛政策を憲法9条の範囲内に留めるための苦肉の策であったが、今や、そのような配慮も不要になったかのようである。
第二次世界大戦後に、自民党と社会党、保守と革新が対峙したときの基軸が防衛政策であったが、安全保障についても、日本がここまで「普通の国」になることなど、10年前には想定されていなかった。
武器輸出については、全面解禁したからといって、日本製の武器が飛ぶように売れるわけではない。軍需産業が日本の基幹産業になるかのような幻想は持たないほうがよい。
防衛政策との関連で、インテリジェンス能力の強化も提案されている。具体的には、内閣情報調査室を国家情報局に格上げする案が想定されている。しかし、インテリジェンスを担う人材の養成は容易ではない。大学で、安全保障やインテリジェンスをカリキュラムに入れているところは少ない。
さらに、外国からの干渉を防ぐために、スパイ防止法を制定することも考えられているが、憲法の基本的条項と齟齬をきたさないように制度設計をするのは簡単ではない。戦前の治安維持法のように運用されれば、問題は大きい。