気が利いた人になるには?
──「気が利いた人になりたい」「気が利いていると思われたい」と思っている人に、メッセージをお願いします。
唐沢: 本書では、「気が利く」ということを通して、人間関係がどのようなメカニズムの上に成り立っているかを紹介しました。
人間関係がうまくいくかどうかの背景には、相手の心をどう読むか、どのように配慮するか、自分をどこまで出すのかといった複数の要素が絡み合っています。そういうことを知ってもらって、「気が利く人になりたい」という願望を実現するために、どのような言動をすべきなのか、考えてみるといいかもしれません。
もちろん、「気が利く言葉」といった具体的な表現を集めた書籍やネット記事もたくさんあります。そういったものを学ぶことも有効です。実践的なフレーズが人間関係を円滑にする場面は多々あります。
けれども、そこからさらに踏み出すことも意味があると考えています。「気が利く人になりたい」と思う背景には、今の自分からもう一歩成長したい、他者とよりよい関係を築きたいという思いがあるはずです。
その「もう一歩」を踏み出すためには、表面的な言葉遣いだけではなく、自分の心の動きや他者との相互作用の仕組みに目を向ける必要があります。何を大切にし、何に気をつけるべきなのかを理解した上で行動することが、結果として本当の意味での「気が利く」に近づく道だと私は考えています。
唐沢 かおり(からさわ・かおり)
東京大学大学院人文社会系研究科教授
1960年京都府生まれ。カリフォルニア大学ロサンジェルス校大学院博士課程修了。博士(心理学)。名古屋大学情報文化学部助教授などを経て、2010年より現職。専門分野として、自己や他者、社会的出来事などに関する情報処理のメカニズムを研究。社会心理学の知見や研究手法を、実際の社会的課題や、倫理的な問題の解決に役立てる研究にも取り組んでいる。
関 瑶子(せき・ようこ)
早稲田大学大学院創造理工学研究科修士課程修了。素材メーカーの研究開発部門・営業企画部門、市場調査会社、外資系コンサルティング会社を経て独立。YouTubeチャンネル「著者が語る」の運営に参画中。