議会のチェックが働かない君主制は有害

 スミス氏は「私は多くの人の支持を集められる民選の女性国家元首がその役割を担うことを願っている」という。英王室と歴史的なつながりを持つ日本の皇室がエプスタイン事件に巻き込まれるような事態は未来永劫、想像できない。

 しかしエプスタイン事件で名前の挙がる王室関係者は英国のアンドルー容疑者だけではない。ノルウェーのメッテ・マリット皇太子妃も、エプスタインが有罪判決を受けた後も米フロリダ州にある彼の別荘を訪れるなど親密な交流を続けていたことが発覚。

 サウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン皇太子、スウェーデンのソフィア妃、デンマークのフレデリック国王、ベルギーのフィリップ国王の弟のロラン王子、ルクセンブルクのギヨーム大公とステファニー大公妃らの名前も取りざたされる。

 議会によるチェックが正常に機能しないと、君主制は腐敗しやすく、有害でさえあることがエプスタイン事件で浮き彫りになった。王室はもはや聖域ではなくなった。これを機に君主制の見直し論議が世界的に高まるかもしれない。

【木村正人(きむら まさと)】
在ロンドン国際ジャーナリスト(元産経新聞ロンドン支局長)。憲法改正(元慶応大学法科大学院非常勤講師)や国際政治、安全保障、欧州経済に詳しい。産経新聞大阪社会部・神戸支局で16年間、事件記者をした後、政治部・外信部のデスクも経験。2002~03年、米コロンビア大学東アジア研究所客員研究員。著書に『EU崩壊』『見えない世界戦争 「サイバー戦」最新報告』(いずれも新潮新書)。