戦死傷者120万人の衝撃、高額な契約金で買い叩かれる「少数民族」の兵士たち
ウクライナ戦争で急増する戦死傷者もロシアの国力に暗い影を落としている。
1月27日にCSIS(米戦略国際問題研究所)が公表したデータによると、開戦(2022年2月)~2025年末のウクライナ戦争での死傷者数(行方不明者も含む)は約120万人で、うち戦死者は27.5~32.5万人と推計する。
プーチン氏は2024年に総兵力150万人体制の大統領令を発令したが、強制動員は極力避け、あくまでも高額な契約額で、国内や海外から年間40万人規模で補充兵を確保している模様だ。
だが主軸は国内のロシア民族(白人)以外の少数民族で、高額な契約金を“餌”に徴募しているのが実情だという。
英シンクタンクのIISS(国際戦略研究所)発行の『ミリタリーバランス(2025年版)によれば、ロシア正規軍の総兵力は113万4000人で、国家親衛隊33万5000人を含む準軍隊56万9000人と正規軍予備役150万人も控える。
ウクライナ戦争に投入する兵力は推定71万人で、一概には言えないが正規軍の6割の規模に相当する。
ロシアの一般市民のほかに、囚人や外国人傭兵なども相当数含まれるが、通常ならば経済活動に従事し、GDPアップに貢献するはずの健常な多数の人材が、前線に送られ消耗戦で死傷しているわけで、ロシアが被る損失は想像以上だろう。
加えて、侵略戦争を嫌ったり、徴兵を心配したりして国外に逃亡したロシア国民は数十万人~100万人に上ると見られる。しかもIT関連の技術者やエンジニアなど高学歴の割合が高いようで、ロシアの“頭脳流出”は国力を確実に低下させるだろう。
ちなみにロシアは「大国」のイメージが強いが、国連統計によれば2023年の総人口は約1億4500万人で、日本の約1億2100万人と大差ない。戦争がこのまま長期化すれば、近い将来、徴兵による強制動員を行わない限り、兵員不足に陥ることは想像に難くない。
統計には表れにくいが、帰還兵の社会復帰に関わるコストも深刻だ。少子高齢化(合計特殊出生率1.41)が叫ばれ、労働者不足が深刻な点は日本と同じで、貴重な労働力が非生産的な戦場に送られるだけでも国家的マイナスだが、より深刻なのは膨大な帰還兵のケアである。
身体的障害や、砲爆撃による戦場恐怖症(シェルショック)を含むPTSD(心的外傷後ストレス障害)など、精神的障害を被った数十万人規模の元将兵の治療やリハビリ、社会復帰に費やす人的・経済的コストは国家財政を確実に圧迫する。
このように、大国・ロシアは想定外の長期戦・消耗戦で国力を徐々に落としている。頼みの綱の原油・天然ガスの収入は、原油価格の下落と欧米の制裁で萎む一方で、経済成長も落ち込み、国家財政を圧迫している。
ドローン戦が激しさを増す。準軍隊のウクライナ郷土防衛隊は電波妨害装置でロシア軍の中国製ドローンを無力化して捕獲(写真:ウクライナ国防省ウェブサイトより)
ウクライナを勢力圏に組み入れ、偉大な「ロシア帝国」の再興を夢見ていると言われるプーチン氏だが、このまま不毛な戦争を続ければ、国力を消耗して衰退していくのは明らかで、本末転倒だ。
しかも最近は、ロシア侵攻部隊の死傷者数が増加しているにもかかわらず、進撃速度が目に見えて落ちていると分析されている。英エコノミスト誌は、現在の進撃速度では、ウクライナ全土の占領に100年以上かかると試算する。
果たしてこの危機を青息吐息のプーチン氏はどう切り抜けようとしているのか。
塹壕に身を隠しドローンを警戒しながら徹底抗戦の構えのウクライナ軍(写真:ウクライナ国防省ウェブサイトより)







