財政赤字は目標の5倍、GDP比2.6%にまで悪化したロシアの台所事情
和平交渉の駆け引きで終始強気なそぶりのプーチン氏だが、国内の台所事情は火の車で青息吐息、というのが欧米の主要メディアや多くのシンクタンクの推測だ。
実際、ロシアは経済成長に急ブレーキがかかり始めている。
1月にIMF(国際通貨基金)が発表した経済見通しによれば、2025年のロシアの実質GDP(国内総生産。推計)は約145兆ルーブル(約1.9兆ドル)で、対前年成長率は0.8%にとどまるという。
経済成長率を見ると、ウクライナへの全面侵略を始めた2022年は、欧米の経済制裁の影響でマイナス1.4%だったが、プーチン氏の主導で素早く戦時経済へと移行し、軍需と政府投資を推進した結果、2023年、2024年と4%成長を叩き出していた。
だが、インフレや人件費高騰抑制のため、政策金利引き上げなど金融引き締め策が強化され、個人消費や民間企業の活動が落ち込んだことや、輸出の稼ぎ頭である原油・天然ガスが、欧米の経済制裁や原油価格低下の直撃を受けたことが響いたらしい。
政府主導の軍需もさすがに息切れ気味で、武器・弾薬をいくら製造しても戦場で消費されるだけで、国内産業や消費者、交通の利便性・効率化向上など、再生産にはほとんど寄与しない。今後の成長率予測も、2026年0.8%、2027年1.0%と低調だ。
ロシア政府の懐事情も厳しくなってきている。
ロシア財務省発表の2025年財政赤字は5.6兆ルーブル(約721億ドル)、GDP比は2.6%(英ロイター報道)。GDP比の財政赤字は2020年以来、金額ベースでは2006年以来の高水準で、当初目標の「財政赤字1.2兆ルーブル、GDP比0.5%に抑制」を大きく超え、金額ベースで5倍近くも赤字が膨らんだ。
歳入(約37.3兆ルーブル)が当初目標よりも約8%も少なく、逆に歳出(約42.9兆ルーブル)が同3.5%(前年比7%弱)も増えたことが要因だという。
ロイターは2026年もロシアの財政赤字額の圧縮は厳しいとも報じており、当初目標のGDP比1.6%から3.5~4.4%へと最大3倍に達すると試算する。