巡航ミサイル攻撃を防ぐ手段が乏しい

 米軍からミサイル攻撃を受け破壊されたイランやベネズエラの防空兵器の実態から、北朝鮮の防空能力は比較的容易に推測できる。

 ベネズエラは、長距離防空ミサイルのSA-3、S-300、中距離防空のブークを保有していたが、短距離防空ミサイルは保有していなかった。

 短距離防空用には、新型の携帯対空ミサイルの「SA-16」(レーダーが付属せず目視による監視のため目標捜索能力が低い兵器)を大量に保有していた。

 少なくとも、比較的新型のS-300やブークは、ロシアによれば巡航ミサイルを撃墜できるという評価であった。

 しかし、ロシア製兵器の信用は、米軍の攻撃・破壊によって完全に裏切られてしまったようだ。

 イランは、ベネズエラよりも近代的でまた自国開発の防空ミサイル、具体的には、ロシア製の長距離防空ミサイルのSA-2、SA-5、S-300、S-400(情報によって有無が異なる)、中距離防空のブークや米国製の「ホーク」、短距離防空のロシア製の「トール」、中国製の「紅旗」(ロシア製SA-4と同等)を保有している。

 ロシア製の兵器を参考にして自国開発した防空兵器を大量に保有していたという情報もある。

グラフ 北朝鮮・イラン・ベネズエラの防空ミサイル保有数

出典:ミリタリーバランス2025などより筆者作成
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 両国とも、新型を含めたこれだけ大量の防空兵器を保有していれば、都市、核施設、軍事施設の防空は可能だと考えていただろう。

 だが、両国とも米国やイスラエルの航空攻撃で重要施設は破壊され、電子戦攻撃によって無力化され、ほとんど何もできなかった。ロシア製の防空兵器が公表されている諸元通りに機能しなかったのは間違いない。