防空システムの急な性能向上は難しい

 ウクライナ戦争でも、イランやベネズエラへの航空攻撃でも、ロシア製の防空兵器はことごとく破壊されて、重要施設などを守ることはできなかった。

 その結果、ロシアの防空兵器の性能では、米国製ミサイルを撃墜できないことが判明した。

 さらに、北朝鮮は、低空からの攻撃を防ぐ短距離防空ミサイルをほとんど保有しておらず、低空で飛行して攻撃する戦闘機、巡航ミサイル、ドローンには対処できないとみられる。

図5 北朝鮮防空能力の現実 左:能力最大の見積もり 右:妥当な能力見積もり


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 低空からの攻撃を阻止できなければ、レーダーなどが破壊され結果的に高高度や中高度からの攻撃も阻止できなくなり、防空組織が崩壊してしまう。ウクライナ戦争でのロシア防空実態がこのことを示している。

 ロシアの防空兵器を導入してきたロシアの友好国は、ウクライナ戦争、イランへのイスラエルと米軍の攻撃、ベネズエラへの米軍による電撃作戦で自国の空を守れないことに気付いたはずだ。

 しかし、対処しようにもロシアの状況や経済制裁その他の環境からみて、米国や欧州、また日本の防空兵器の性能にキャッチアップするには相当な時間がかかりそうである。

 北朝鮮の金正恩氏がおそらく抱いているであろう不安は、今後しばらく続くとみて間違いない。

 イランやベネズエラのように石油という資源がない北朝鮮は、背後に中国も控えていて、米国からすぐ攻撃を受けるというような状況にはない。しかし、金正恩氏の心中が穏やかではないのは確かだろう。