おわりに

 ゼレンスキー氏は、トランプ氏から、東部2州(ドネツク・ルハーンシク)とクリミアをロシアに割譲することを求められ、国民向けのビデオ演説で、国家の尊厳を失うか、最大の支援国である重要な仲間を失うかの選択をウクライナに迫るものだと、指導者としての苦しい胸中を明かした。

 2026年1月16日、ウクライナのキーウ国際社会学研究所(KIIS)は、和平協議をめぐる世論調査の結果を発表した。

 それによると、米国がウクライナに求めているとされる東部ドネツク州からのウクライナ軍の撤退には54%が「絶対に受け入れられない」と答えた。

 国民にとって、すでに膨大な命や資源を投じて維持した領土であればあるほど、「ここまで払った代償がすべて無駄になる」という心理が働き、撤退や割譲が極めて困難になるのが歴史の常である。

 筆者は、ゼレンスキー氏に、「重要なのは、命を惜しまず戦うウクライナ軍人の犠牲を減らすことである。今、貪欲になるべきではない」という自分の言葉を思い出してほしいと願っている。

 和平交渉を成功させるために、米国および西側諸国からのNATO第5条と同等の「安全の保証」の提供を条件に、クリミア並びに「ルガンスク人民共和国」および「ドネツク人民共和国」のロシアへの割譲を認める決断をすることがウクライナ国民にとっての最善策ではないだろうか。