注目したいセクター

 新しい投資環境では、多くの周辺国が国家の存続を保つため、①国防関連、②資源エネルギー、③希少金属、④食糧、⑤水、といった分野への需要が備蓄を含む仮需を巻き込みながら積み上がり、市場価格に上昇圧力がかかることで相対的に有望な投資対象として期待できそうです。

 こうしたセクターについてもう少し詳しく掘り下げると、①国防関連では、AIに代表される軍事関連のIT・情報処理技術やサイバーセキュリティ関連、フィジカルAIを活用した自律した兵器開発、ミサイル防衛、衛星、超音速兵器といった先端兵器、そして、専守防衛のための潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)を搭載した原子力潜水艦の建造に注目しています。

 一方、同じ国防関連でも昨年大きく株価が上昇したドイツのラインメタル社のように、通常兵器や弾薬を主力とする「コモディティ企業」は、今後は跳ね上がってしまったバリュエーションが株価の足かせとなってくるのではないでしょうか。

 続いて、②、③の資源エネルギーや希少金属については、権益を有する企業や開発ノウハウを有するサービス企業などが有望でしょう。そして、④の食糧関連については、増産を支える肥料・農薬関連、フィジカルAIやGPSなどの衛星技術を活用した農業機械、穀物商社、垂直農法(多段式に苗が縦に並ぶ農業工場)、完全閉鎖型の室内農業などに市場の関心が集まる可能性が高そうです。

 そして、⑤水関連については、浄水場や排水ネットワークなどのインフラ事業、水処理・浄化技術関連、淡水化ビジネス、農業用水の効率化ビジネスなどへの注目がより高まることが想定されます。

 世界の政治情勢の急激な変化について仮説を置き、私たちを取り巻く投資環境について希望や理想を排して国際政治のリアリズムに徹して考えていくと、①債券より株式、②投資対象市場としては米国、③ドル円については米ドル堅調、また、④実物資産投資には構造的な追い風が期待され、そして、⑤投資セクターとしては国防関連、資源エネルギー、希少金属、食糧、水関連が有望な投資先として期待できそうです。

■まとめに

▶ 世界はトランプ政権の「剥き出し」のアメリカ・ファーストにすっかり翻弄されていますが、自国の利益最優先で突き進む外交・安全保障政策は米国の国家戦略を忠実に実行に移したものであるため、今後も中長期的に続く可能性が高そうです。
▶こうした仮説が現実のものとなるなら、中長期的な投資環境としては「債券より株式」、「投資対象国としては米国」、「ドル円は米ドル堅調」、そして「実物資産投資は構造的な追い風が続く」ことが想定されます。
▶株式投資にあたり注目すべきセクターとしては、①国防関連、②資源・エネルギー、③希少金属、④食糧、⑤水関連、を挙げることができそうです。

※寄稿はあくまで個人的見解であり、所属組織とは無関係です。

※個別の金融商品や銘柄を勧めるものではありません。最終的な投資判断はご自身の責任でお願いします。