食料品の消費税減税、やらなければ有権者を欺くことに、やったならば財政悪化の可能性

 第二は、まだ序盤戦であることで、これからの選挙戦の展開次第では、情勢が変化する。かつて、選挙中に橋本龍太郎首相が税金について迷走した発言をして、選挙に負け、退陣したことがある。1998年7月の参院選のことで、70議席は獲得するという事前の予想に反して、44議席にとどまってしまった。その責任をとって、橋本内閣は総辞職したのである。

 税金は、国民の生活に直結するのであり、高市首相も同じ轍を踏む可能性がある。それが、第三の問題である。各党が消費税の廃止や減税を掲げたことに焦りが出たのか、高市は、「食料品を2年間限定で消費税の対象外とする減税案の検討を加速する」と表明した。

「検討する」というのは、永田町用語では、「実施しない」ということであるが、1月26日の日本記者クラブで行われた党首討論会では、2026年度中の実施を目指すと述べた。そして、財源については、特例公債(赤字国債)に依存しないという。

衆院選に向け、与党は時限的な食料品の消費税減税の検討を掲げ、「中道改革連合」は「恒久ゼロ」を訴え対抗する=1月19日、東京都練馬区のアキダイ関町本店(写真:共同通信社)

 しかし、この消費税減税提案は、財政悪化の懸念を生み、長期金利の急騰を招いた。このことは、2022年9月に政権に就いたリズ・トラス首相が、大型減税を打ち出して、ポンド安、債券安、株安のトリプル安を招いて、わずか44日で政権が崩壊したことを想起させる。経済状況が異なるので、トラス・ショックと同じことになる可能性は少ないが、深刻な事態を引き起こす可能性は捨てきれない。

 消費税減税を打ち出したことによって、消費税を争点にすることを回避できたことに自民党は安堵している。しかし、選挙期間中に、高市が消費税について不用意な発言をすると、一気に情勢が変わる可能性がある。高市が、消費税減税に関して、迷走するような発言をすると、命取りになる。