ただし、文在寅政権と同様に李在明政権も支持層の反発が大きな難題として浮上している。過去、野党党首として福島第一原発処理水を「事実上の核廃棄物」と罵り、その海洋放出に抗議する「断食」パフォーマンスまで行った李在明大統領の過去の行状も相当な負担として作用するものと見られる。

2023年9月19日、福島第一原発の処理水放出に抗議して断食パフォーマンスを断行した「共に民主党」の李在明代表(当時)は、その後体調を崩し入院。そんな李氏を前大統領の文在寅氏が見舞いに訪れた(写真:Yonhap News Agency/共同通信イメージズ)

歴史問題がどう扱われるか、に大きな関心

 現在も福島県産水産物の輸入を禁止措置を継続している韓国政府は「CPTPP加入と福島県産水産物輸入許容は別個の事案」という立場を守っているが、全ての加盟国の賛成があってこそ加入できる規定があり、加盟国の要求事項を無条件に断ることはできない。そして、韓国メディアは、日本は福島県産水産物の輸入再開を、オーストラリアやメキシコなどでは農産物に対する輸入開放を要求する可能性が高いと見ている。

 CPTPP加入にアクセルを踏んでいる李在明政権が、福島県産水産物輸入を加入条件に掲げている日本政府の要求をどれだけ防げるかが、韓国人の最大の関心事になっている。

 経済界や保守側でCPTPP加盟を今回の首脳会談の最重要議題と見ているなら、進歩系の人々の間では歴史問題に対する論議が最大の関心事だ。

 韓国大統領府は「議論予定の歴史問題は長生炭鉱の朝鮮人遺骨収拾に対する協力方策」と明らかにした。長生炭鉱は山口県宇部市近郊の海底炭鉱で、1942年その坑道が崩壊し、183名が犠牲になった。その7割は朝鮮半島出身者だった。

 炭鉱閉鎖によりこれまで遺体がまともに収拾できなかったが、人道的次元の遺体収拾・発掘調査に必要な協力方策が今回の会談で議論される可能性がある。