低利で借りているお金はなるべく返さない

 さて、ここでは住宅ローンについて説明しましたが、話を一般化すると、「低い金利で借りているお金を焦って返済するのは損」ということになります。もちろん借り入れですから、あらかじめ決められたスケジュール通りに返済はしなければなりません。しかし、それを自分から繰り上げ返済しにいくのは金融リテラシー的にはいくらなんでも損失が大きすぎてとてもオススメできません。

 では、他に「焦って返すべきでない」借金というのはあるでしょうか?

 そもそも、個人が低金利でお金を借りることができる機会というのは多くありません。銀行のフリーローンの利息は5~15%程度ですから、さすがにこのくらいの利息であれば投資に回さずに少しでも早く返済すべきです(というか、フリーローンでお金を借りて投資するというのは破滅への道なので絶対にやってはいけません)。

 あまり意識していないかもしれませんが、低利で借金できているということ自体がものすごく得をしているのだということです。そんな有利なカネを早く返済するというのはそれだけでもったいないことだ、と意識することが重要です。

 さて、住宅ローン以外で、「低利で借りているお金」に当てはまると思われるのが、奨学金でしょう。足下では大学生の2人に1人が奨学金を利用しているとのことで、さらに増加傾向だとのことです。

 もともと私がこのテーマに問題意識を持ったきっかけでもあったのですが、日本育英会(現在は独立行政法人学生支援機構)の奨学金を借りていた知人が、就職してからせっせと奨学金を繰り上げ返済していたのです。そこで、上で説明したようなことを伝えて、「ファイナンス的には繰り上げ返済しない方がいいよ」とアドバイスしたのですが、「理屈はともかく借金を少しでも早くきれいにしたい」ということで、考えを変えてもらえませんでした。

 私と同年代の人でしたから、おそらく金利は1%未満だったのではないかと思います。住宅ローンの変動金利(優遇金利)と同じくらいの金利でしょう。

 そのくらいの低利で借りられているカネを繰り上げ返済してしまうというのは非常にもったいない話です。

 これは犯罪なので真似してはいけませんが、低利の住宅ローンを不動産投資目的で借り入れたということで、詐欺容疑で逮捕された事件もあります。住宅ローンは詐欺師が使いたくなるくらいの有利な借金だということです*1

*1不動産投資の目的隠し、住宅ローンを若者に申し込ませて融資金詐取の疑い…指示役ら16人逮捕(読売新聞オンライン)