米中対話の糸口はいつ生まれる?

 なもんで、現実的には中国政府がブチ切れていくらレアアース取引の制裁を強化しても、第三国経由の迂回輸出は続くと見られています。マレーシアやインドネシア、ベトナムといった東南アジア諸国を経由すれば、中国原産の素材も「第三国産」として流通させることが可能です。

 公告では第三国経由の迂回輸出も法的責任を追及すると書いていますが、実効的な監視は困難ですし、多少割高になっても日本企業が本当に困って倒産続出だなんてことはないぐらいには入手できるだろうとは思います。中国企業にとっても、日本ほか西側諸国向け輸出がゼロになるのは売り上げ減少を意味しますから、グレーゾーンでの取引は維持されるでしょう。

 結局のところ、今回の措置はまずは「やるぞ」という意思表示であり、実際にどこまで厳格に運用されるかは別問題です。高市政権が台湾有事への姿勢を変えない限り、日中関係の改善は見通せません。

 11月に北京で開かれるAPEC首脳会議が、両国の対話の糸口になるかどうか。それまでの間、企業は粛々と調達先の多様化を進め、政府は同志国との連携を深めていくしかありません。知ってたことが、いよいよ現実になった。そういう話です。

 で、7日になって日本側がこの中国の措置に抗議、中国が反論という伝統芸能が始まっています。対処方法として適切かどうかは分かりませんが、言いがかりであるとして報復措置を日本側から取ることも想定して良いレベルに発展してしまうかもしれません。望ましくないのは間違いありませんが……。まずは、半導体製造装置や半導体関係素材の輸出を止めることを「検討」、みたいなところではどうでしょうかね。

山本 一郎(やまもと・いちろう)
個人投資家、作家
1973年東京都生まれ。慶應義塾大学法学部政治学科卒。東京大学政策ビジョン研究センター客員研究員を経て、情報法制研究所・事務局次長、上席研究員として、社会調査や統計分析にも従事。IT技術関連のコンサルティングや知的財産権管理、コンテンツの企画・制作に携わる一方、高齢社会研究や時事問題の状況調査も。日経ビジネス、文春オンライン、みんなの介護、こどものミライなど多くの媒体に執筆し、『ネットビジネスの終わり(Voice select)』『情報革命バブルの崩壊 (文春新書)』『ズレずに生き抜く 仕事も結婚も人生も、パフォーマンスを上げる自己改革』など著書多数。
Twitter:@Ichiro_leadoff
ネットビジネスの終わり』(Voice select)
情報革命バブルの崩壊』 (文春新書)
ズレずに生き抜く 仕事も結婚も人生も、パフォーマンスを上げる自己改革』(文藝春秋)