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高市早苗首相の台湾を巡る発言で、中国が猛反発を続けており日中関係は緊迫化しています。発言から1カ月が経つなか、収まらない中国の怒りの背景に何があるのか。そして、台湾の人々はこの状況をどう見ているのか。中国ルポライターの安田峰俊氏が、台湾出身で台湾などの東アジア問題に詳しい東洋経済記者、劉彦甫氏に話を聞きました。3回に分けてお届けします。

※JBpressのYouTube番組「安田峰俊のディープアジア観測局」での対談内容の一部を書き起こしたものです。詳細はYouTubeでご覧ください。

(収録日:2025年12月3日)

高市発言が踏み越えた禁断のライン

安田峰俊氏(以下、敬称略):高市早苗首相が11月7日の国会で「戦艦を使って、武力の行使を伴うものであれば、これはどう考えても存立危機事態になり得るケースである」と発言しました。この発言を最初に聞いたとき、どのように受け取りましたか。

劉彦甫氏(以下、敬称略):最初に聞いたときはびっくりしました。言っちゃうんだと思いましたね。

 国際政治や安全保障の専門家の間では、中国が台湾に全面的に武力侵攻した場合、日本にとって存立危機事態になり得るというのは以前から言われてきました。2015年の安保法制の議論の際、政府は「ホルムズ海峡の封鎖」などを例として挙げていましたが、本丸は朝鮮半島と台湾だというのは皆わかっていたことです。

 しかし、それを明言すれば外交問題になるので、できるだけ具体的に言わずにきました。今回、高市首相は禁忌ともいえる一線を越えてそれを口にしてしまったため、中国としても反発せざるを得なくなったということでしょう。

安田:私も同感です。それは事実なんだけど言っちゃダメでしょうという。中国側は日本への渡航を自粛するように呼びかけるなど、猛反発を続けています。中国が台湾問題についてここまで怒ってしまう理由について、整理していただけますか。