安田峰俊さんと舛友雄大さんの対談はYouTubeの新番組「安田峰俊:ディープアジア観測局」でご覧いただけます。ぜひ、チャンネル登録もお願いします!
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湾岸タワマンや京都の戸建て、北海道ニセコのリゾート開発――。近年、日本各地で中国人による不動産購入が相次ぎ、その存在感が増しています。なぜ彼らは日本に来て、住宅や土地を手に入れているのか。中国ルポライターの安田峰俊氏が、『潤日(ルンリィー):日本へ大脱出する中国人富裕層を追う』の著者で中国・東南アジア専門ジャーナリストの舛友雄大氏に話を聞きました。2回に分けてお届けします。

※JBpressのYouTube番組「安田峰俊のディープアジア観測局」での対談内容の一部を書き起こしたものです。詳細はYouTubeでご覧ください(収録日:2025年9月10日)

江東区で目立つ中国人、タワマンに詐欺マネーも還流?

安田峰俊氏(以下:敬称略): 中国人による日本の不動産の「爆買い」について、どう見ていますか。

舛友雄大氏(以下:敬称略):新築のタワマンの価格高騰の一因になっていると思います。ただし、要因は中国人による購入だけでなく、インフレで材料費も上がっていることなども大きいでしょう。

 不動産関係者によると、バンコクなど他のグローバル都市と比較すれば東京の不動産はまだ高くないと見られています。大都市のマンション価格が高騰して若者たちが買えないという現象は、他のグローバル都市ではすでに当たり前になっているので、東京が異常なわけではないでしょう。

安田:東京のタワマンだけでなく京都の閑静な住宅街の戸建てなどを、中国人が購入するケースもありますね。

舛友:中国の北京や上海では高層マンション住まいが一般的で、戸建てを持つのは一部の超富裕層だけです。そのため、日本で戸建てを買うことは彼らにとって自慢の一つで、ステータスとして別荘のように利用する人も多いのだと思います。

江東区のタワーマンション群。中国人が爆買いしている=イメージ(写真:Makoto_Honda/Shutterstock.com)

安田:湾岸のタワマン爆買いでは、東南アジアの詐欺拠点から資金が流れてきているケースもあるようです。詐欺拠点の運営に関わるカンボジアの福建系財閥の不動産関連会社が東京や大阪にオフィスを構えていますし、詐欺で得た資金を洗浄する「マネーロンダリング」を担うカンボジアの金融機関が東京に拠点を置いていますから…日本の高齢者から奪われたお金が、タワマン爆投資で国内に戻ってくるという皮肉な現象が起きている(笑)。

舛友:なるほど。私の本ではそこまで捉えられていませんでしたが、湾岸のタワマンはかなり買われているという印象があります。実際、東京23区で中国人が一番多いのが江東区です。以前は新宿区でしたが、豊洲のタワマン群や、大島など内陸に住む中国人中間層の存在があり、江東区が目立っています。