2025年9月、中国外交部は突然、日本維新の会の石平(せき・へい)参議院議員に対して、入国禁止や中国国内の資産凍結といった制裁を課すと発表しました。そのニュースは日本のみならず、世界の華人ネットワークで拡大。一躍、世界から注目を集める存在となりました。今年7月の参議院選挙で当選した石平氏は中国・四川省に生まれ、天安門事件をきっかけに「反中国」の姿勢を鮮明にし、日本へ帰化。これまで中国の体制を批判し続けています。なぜ、石平氏は議員になったのか。そして、なぜ中国から制裁を受けたのか。中国ルポライターの安田峰俊氏が聞きました。3回に分けてお届けします。
※JBpressのYouTube番組「安田峰俊:ディープアジア観測局」の対談内容の一部を書き起こしたものです。当番組では、中国やアジアのディープな現場を知り尽くしたゲストに知られざる実態を聞きます。詳細はYouTubeでご覧ください(収録日:2025年9月30日)
文化大革命・天安門事件を経て日本へ帰化
安田峰俊氏(以下:敬称略):石平議員は中国・四川省出身ですね。
石平・参議院議員(以下:敬称略):1962年に四川省で生まれました。4歳の時に文化大革命が始まり、両親が大学から追い出され下放*されました。私は田舎のおじいさんの家に預けられました。そして1980年に北京大学に入学しました。
*文化大革命のときに都市の若者らが農村へ送り出されたこと
安田:その後、神戸大学に留学され、1989年の天安門事件が起きたときに関西の中国人留学生の中心にいらっしゃいましたね。中国共産党に絶望され、評論家として中国批判を展開するようになりました。2007年に日本に帰化し、そして今年7月の参議院選挙に日本維新の会から出馬して初当選されました。
直近では、当選後の9月8日に中国外交部が石平議員に対して中国国内の資産凍結・ビザ発給停止という制裁措置を明らかにしました。どう受け止めていますか?
石平:中国に資産を持っていませんし、そもそも中国に行くつもりがないので、正直「勝手にやってくれよ」という感覚です。
米国のルビオ国務長官は上院議員時代に中国政府から入国禁止措置などの制裁を受けました。結果的に、今となっては米国の要職にある人物を呼ぶことができなくなった中国の方が困っているのではないでしょうか。私も中国政府から制裁を受けたところで困ることはありません。