台湾でも高市発言に賛否両論

安田:現時点で日本人拘束などの事態は起きていません。軍事面でも現時点(注:対談時点)では静かで、極端に挑発的な行動は見られていませんね。

劉:中国軍が台湾周辺で軍事演習を行うのではと心配する声もありましたが、台湾側の専門家によればこの時期にはないだろうと見ています。そもそも冬の台湾海峡は暴風が吹き荒れる季節で、このタイミングで大規模な演習を実施するのは物理的に難しい(注:東シナ海や沖縄周辺での演習が実施され、自衛隊機へのレーダー照射が問題化した)。

 おそらく中国には効果的な手が残っていないからこそ、制裁ラッシュに走っているのでしょう。

安田:では、当の台湾はこの日中対立をどう見ているのでしょうか。

劉:台湾社会の受け止めも真っ二つで、独立志向の与党・民進党系は高市発言を「よく言った」と歓迎する一方、中国寄りの野党・国民党系は「余計なことを言って戦争を招きかねない」と批判しています。

 気をつけていただきたいのは、都合の良い形で台湾の「声」を引用しないでほしいという点です。たとえば日本側で高市さんを支持する人が民進党寄りの発言を「台湾の総意」として紹介したり、逆に高市さんを批判する人が国民党寄りの声を「台湾の考え」と言ったりすることがあります。しかし台湾社会には双方の意見が存在します。片方の声だけを取り上げて「これが台湾の総意だ」と日本で紹介するのは注意が必要です。

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