3連覇への戦略は?

 戦力を整えてきた佐久長聖だが、今回はライバル校が超強力だ。インターハイ5000mでは西脇工(新妻遼己が1位、赤坂勇輔が6位)と仙台育英(菅野元太が2位、鈴木大翔が5位)がダブル入賞を達成。インターハイ5000m3位の栗村凌と5000mで高校歴代3位の13分27秒26を持つ増子陽太を擁する学法石川、前回大会2位の大牟田から集団転校があった鳥取城北などが上位候補になる。

「正直、今回は仙台育英が抜けているんじゃないでしょうか。学法石川と鳥取城北は駅伝力がありますし、西脇工は前半から逃げるチームだと思います。あと倉敷も不気味ですね。1区からガンガン行く展開も予想されますが、うちは大エースがいるわけではありません。手堅く行きながら、追いかける展開を想定してここまで作ってきました」

 5000m上位7人の平均タイムは仙台育英(宮城)が13分55秒でトップ、2位は学法石川(福島)で14分03秒、3位は倉敷(岡山)で14分09秒。佐久長聖は14分11秒で鳥取城北と同タイムの4位となる。仙台育英とのタイム差は小さくないが、高見澤監督はまったく心配していない。

「今季は選手たちに5000mのタイムを狙わないと明言してきました。全国高校駅伝を見据えてじっくり取り組んできたので、タイムを持ってないことはネガティブに考えていません。とにかく全国高校駅伝に合わせてきたんです」

 では、高見澤監督は3連覇への戦略、道筋をどう考えているのだろうか。

「1区(10km)は実力的に30~60秒くらいついちゃうかなと考えています。そこから慌てずにじっくりと追い上げていきたい。チームの強みは選手層です。後半区間は自信を持っているので、区間賞を独占するぐらいの気持ちでやっていきたい。序盤で大差をつけられても、『絶対に追いつくぞ』『逆転するぞ』という気持ちを持って大会に臨みたいと思っています」

 1区は劣勢が予想されるが、2~4区でじわじわと浮上。そして5~7区で“猛攻撃”を仕掛けるつもりでいる。優勝の歓喜を2度も経験した3年生を軸に“覚悟”を決めた佐久長聖の静かで熱い継走に注目したい。

佐久長聖はなぜ強いのか?(前編)はこちら