世界の経済的威圧事例、4割は中国が加害主体

「経済的威圧」「貿易の武器化」の事例は中国に限らない。データベースは2008年以降に世界で発生した事例約100件を収録。関税や輸入停止といった公式制裁に限らず、検疫強化、通関遅延、観光規制、企業への非公式圧力など、国際法上グレーな方法も含んでいる。

 エコノミスト誌によると、全体の約4割は中国が経済的威圧の加害主体だったという。他の加害主体にはロシア、米国、中東諸国が含まれるが、単一国家としては中国が突出している。

 世界の経済大国になった中国は世界金融危機を境に核心的利益に関しては西側に露骨に圧力をかけるようになった。

「保存の法則」は比喩だが、中国の外交的怒りは消えることなく一定水準で保たれ、向かう先だけが入れ替わる。中国が関わる経済的威圧は毎年ほぼ途切れなく起きている。ある国への圧力が沈静化すると別の国、別の争点で新たな圧力がかけられる。

 中国が同時に多数の国を強く叩き続けることは稀で、例えば韓国、オーストラリア、リトアニア、日本という「経済的威圧」のバトンリレーが見られる。中国外務省定例会見で使われる強硬表現や内政干渉・主権侵害のフレームは、対象を変えつつ反復される傾向がある。