解散総選挙も手である

 もし、高市が首相になれば、難局を打開するための一つのカードは、解散総選挙である。

 高市を総裁に押し上げた国民の保守回帰が本物ならば、多くの支持を獲得できる可能性がある。

 総裁選では、上位2候補による決選投票となったが、結果は、高市が185票(国会議員票149票、都道府県連票36票)、小泉が156票(145票、11票)で、高市当選となった。都道府県連票では、高市が小泉の3倍以上の票をとり、圧勝である。党員の票では、保守回帰が明確である。

 自民党が少数与党に転落したのは、参政党や国民民主党などの新興野党に票を奪われたからである。先の都議選や参院選では、「日本人ファースト」をうたう参政党によって、本来の自民党支持層である岩盤保守派の票が奪われた。

 外国人による不動産購入、オーバーツーリズム、マナーやルールを無視する外国人に対する反感が日本全国で広まっている。その空気を背景に、外国人排斥をうたう参政党が大躍進を遂げた。

 したがって、この奪われた票を取り返すためには、外国人に対する規制強化などを掲げて、日本人のナショナリズムに訴える必要がある。

 高市の保守回帰路線が有権者に支持されれば、自民党は議席を増やすことができる。

新しい自民党執行部の面々。左から古屋圭司選対委員長、有村治子総務会長、麻生太郎副総裁、高市早苗総裁、鈴木俊一幹事長、小林鷹之政調会長=10月7日午前、東京・永田町の党本部(写真:共同通信社)

 さらに言えば、高市の党役員人事を見れば、主流派と反主流派が入れ替わっており、かつての中選挙区制下の総裁選のように、疑似政権交代の色彩を濃くしている。このことはマイナスではなく、自民党にとってはむしろプラスであり、人心一新で新しい政権が生まれたという印象を強めることになる。

 無作為だった石破政権に終止符を打ち、新たな政権として、国民の審判を受けるために解散総選挙に打って出ることの正当性は十分にある。