26年間続いた自公連立体制が終焉した(著者撮影、以下同)
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(鵜飼秀徳 僧侶・ジャーナリスト)

 26年間続いた自民・公明の連立体制が終わった。そこから透けて見えるのは、政治と宗教の相互依存による摩耗だ。

 歴史を振り返っても、政教関係を持続していくのは極めて困難なことである。政治と宗教が目指す「目的」と「手段」が、逆転してしまうからだ。今まさに政治と宗教の関係がリセットされた。そしてこれから、宗教政策の本格始動など、新たなる局面を迎えるのだろうか。

 公明党は結党以来、創価学会の動員を背景にして常に安定的な得票を獲得してきた。創価学会は仏教の一形態である法華系の在家団体で、公明党は信仰を背景にした強大な集票力を誇っていた。わが国では唯一の「宗教政党」と言える。

 だが、わが国の伝統仏教教団は総じて、安定的に政治活動ができるほどのモチベーションや集票力を持っていない。

 確かに、仏教の僧侶が政界入りすることは、しばしばある。だが、所属する宗派が候補者の「推薦」はしても、教団を挙げて選挙・政治運動を展開するということはまずなかった。日本の多くの伝統仏教は、「社会を変えたい」という信仰理念を持たないからである。

 ではなぜ、創価学会が政治参加に熱心であり続けたか、といえば、元は現世利益(この世における救済)を強く掲げた日蓮の教えに源流をもつからである(日蓮正宗は1991年に創価学会を破門)。

 他方、あの世(来世)での救済を重視する浄土系宗派や、空の思想(実体の否定)を重んじる禅宗系や密教系宗派にとっては、そもそも政治参加の理由がない。さらに言えば、長年の歴史の中で宗教が政治にかかわり、その都度、挫折してきたことを体験的に知っているからなのかもしれない。

 宗教と政治の関係は、近代日本の国家構造と切り離せない。