ピート・ヘグセス国防長官(12月6日、写真:ロイター/アフロ)
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(英フィナンシャル・タイムズ紙 2025年12月3日付)

 その革命はテレビ中継されることはなく、ミームを介して伝えられることになる。

 ドナルド・トランプがベネズエラの体制転覆を決断するか否かは、まもなく明らかになるだろう。あの国に対するトランプの一見でたらめな執着は彼の外交政策の本質だ。

 トランプは米国内の事情ゆえにベネズエラを標的にし、ソーシャルメディアを介して自身の主張を展開し、法と倫理を蔑ろにしている。

 ベネズエラは米国の裏庭に位置するため、体制転覆が起きても、それが世界規模にエスカレートするリスクはほとんどない。

地上侵攻なしでマドゥロ大統領を退陣に追い込めるか?

 問題は、米軍の部隊をベネズエラの領土に送り込まずに転覆させられるか否かだ。トランプは現在、ベネズエラの近くに1万5000人の兵を進めているが、これは躊躇していることの表れだ。

 この米軍の規模は、強硬な麻薬取り締まり作戦のためだとしても大きすぎ、少なく見積もっても10倍は大きい。漁船と言えども安全でないのはそのためだ。

 だが、地上侵攻には規模が小さすぎる。おかげでトランプはやり過ぎでも準備不足でもない、どっちつかずの態勢にある。

 したがってトランプは、ベネズエラ大統領のニコラス・マドゥロを威嚇によって排除したいと考えているように思える。

 トランプの動きがパフォーマンス的であるからと言って、それがリアルであることに変わりはない。

 トランプは先日、飛行禁止区域を設定すると発表した。しかし、これはペンタゴン(米国防総省)を通じた発表ではなくソーシャルメディアへの投稿だった。

 ベネズエラ上空に迷い込む航空機は勇敢だが、トランプの命令はそれを実行に移す部隊を伴っていない。

 その翌日には、トランプは「深読みするな」と言った。パイロットは当然、深読みする。ベネズエラの上空はすっかり静かになった。