外国で体制転覆を成し遂げてきた歴史
外見的には、トランプがベネズエラの体制を転覆させても米国の伝統からは外れない。
具体的な件数は異論のあるところだが、米国は恐らく歴史上のどの大国よりも多く外国の体制を覆してきた。地域的には、中米をはじめとする西半球の割合が最も多い。
現地でクーデターを起こさせるのが昔からのやり方で、全面侵攻は稀だ。
1961年にキューバで起きたピッグス湾事件は、現地の支持を当てにすることの落とし穴を露わにした。
麻薬取引の親玉マヌエル・ノリエガの追い落としが目的だった1989~90年のパナマ侵攻は素早く実行された。しかし、パナマは小さな国であり、すでに現地に米軍が駐留していた。
3000万人の人が住み、奥地にはジャングルが広がるベネズエラの侵攻ははるかに難しいだろう。
しかし、トランプは自分の出口を自らふさいでいる。
もし何らかの手段でマドゥロを説得し、辞任させることができたら――例えばマドゥロ本人とその取り巻きのために巨額の賄賂、快適な亡命生活、法的責任の免除などを手配すれば、うまく行くかもしれない――ベネズエラはトランプ政権による成功例の一つになるかもしれない。
考えにくいことではあるが、絶対に起こらないとも言えない。
しかし、ベネズエラの独裁者が徹底抗戦を選んだ場合、トランプは引き下がるのが非常に難しいことに気づくはずだ。安上がりな軍事作戦を命じたい本能はふんだんに露呈されている。