かつては「教授の顔も知らない」のが珍しくなかったの大学野球部員、それが今では…
大学になると、東京六大学や東都大学野球、関西学生野球連盟など、名門大学に選手が集中する。
今季の時点でプロ野球選手を最も多く輩出しているのは明治大学で157人、次いで法政大学の155人、早稲田大学が123人、慶應義塾大学の83人となっている。
早稲田大学グラウンド=西東京市(筆者撮影)
慶應義塾大学グラウンド=横浜市(筆者撮影)
国公立大学では筑波大学(東京教育大含む)の10人が最多、次いで東京大学が6人、北九州市立大4人、京都大学3人(大学院1人含む)、静岡大学3人(静岡師範1人含む)だ。
東大野球場=東京都文京区(筆者撮影)
かつて、私大野球部の選手は、野球部寮とグラウンドを往復するだけで「講堂や教室がどこにあるかも知らないし、教授の顔も知らない」のが実態だったが、近年、東京六大学などは「勉学」も重視するようになった。
アメリカのトップクラスのスポーツ強豪大が加盟するNCAA(全米大学体育協会)では選手は「勉学と競技の両立」が前提となっている。日本でもこれに範をとって2019年にUNIVAS(大学スポーツ協会)を設立、「卓越的な人間力でもっと輝く世界へ」をキャッチフレーズに「学びの充実」に力点を置いているのだ。
昨年、法政大学の大島公一監督は筆者に「最近は、リーグ戦のある日でも選手は午前中の授業を受けてから神宮球場に来るようになりました」と話した。
アメリカでは、エリートを輩出する名門大学からも、一線級のメジャーリーガーが出ている。スタンフォード大出身メジャーリーガーは、殿堂入りした大投手のマイク・ムッシーナを筆頭に、大谷翔平のチームメイトのトミー・エドマンなど88人もいる。同大学在学中の佐々木麟太郎がMLB入りしても、アメリカでは驚く人はいないだろう。
ハーバード大出身のメジャーリーガーも7人。ヤンキースの大打者ルー・ゲーリッグはコロンビア大学、今年DeNAで少しプレーしたマイク・フォードはトランプ大統領と同じプリンストン大学だ。
日本では勉強も野球もできる選手を「文武両道」と言うが、今は「野球も勉学も」が当たり前になりつつある。近い将来「文武両道」は「死語」になるのではないか。







