OpenAI以降のコンテンツをブロックするという荒技

 Slop Evaderを有効にしてGoogle検索を行うと、検索結果から「2022年11月30日以降」に作成されたコンテンツがすべてフィルタリングされ、それ以前の情報のみが表示されるようになるのである。

 この2022年11月30日という日付は、OpenAI社が「ChatGPT」を一般公開した日であり、生成AIによるコンテンツの爆発的な普及が始まった分水嶺として設定されている。

 つまりこのツールは、高度なアルゴリズムを使用してAIによる生成物を個別に検知するのではなく、生成AIが普及する前の時間軸にインターネット全体を巻き戻すという、「時間的な隔離措置」によって人間由来のコンテンツを確保しようとするものだ。

 実際にいま、筆者がこのツールをChromeにインストールし、先日、九州場所が終わったばかりの「大相撲」を検索してテストしてみた。まず次のスクリーンショットは、機能をオンにする前の結果だ。

 当然だが、10時間~2日前くらいの最近の結果が表示されている。そして次が、スロップ・イベーダーを有効化して検索した結果だ。

 ご覧の通り、見事に2022年以前の結果しか表示されなくなった。機能としては単純だし、2022年以前にもAIが生成したコンテンツは存在していたはずなので、完全な解決策にはならないだろう。それに直近の出来事を調べられないというのも問題が残る。とはいえ確かに「ChatGPT以前」に戻れるというのは、一定のスロップ対策となるかもしれない。

 ただ、このプロジェクトが目指しているのは、単なる便利ツールの提供にとどまらない、批評的なメッセージの発信だ。