子どもの髪から水銀が検出、栄養失調や発達遅延と関連
21年、ブラジル北部パラー州タパジョス川流域の先住民族ムンドゥルク族の3つの集落で成人の髪を調べた。採掘に強く影響された村では平均7〜10µg/g(マイクログラム毎グラム)、最大で20µg/g超の水銀が検出された。
あまり影響を受けていない村でも多くの人の髪から6µg/g超が検出された。世界保健機関(WHO)の健康影響閾値は10µg/gが目安だ。近年は胎児保護の観点からより低い2〜3µg/gを基準とする見解もある。
WHOの閾値と比べると、かなりの割合の人々が危険域に達していることが一目瞭然だ。子ども健康調査でも子どもの髪から水銀が検出され、栄養失調や発達遅延との関連が報告された。
国連気候変動枠組み条約第30回締約国会議(COP30)5日目の11月14日、ムンドゥルク族数十人は正式な交渉が行われるブルーゾーンの入口を封鎖した。「ずっと不法採掘、農薬、水銀汚染に苦しんできた」と訴え、世界中の注目を集めた。水銀汚染に怒らない方がおかしい。
COP30ブルーゾーン入口を封鎖するアマゾンの先住民族ムンドゥルク族(筆者撮影)
ロライマ、アマゾナス両州の先住民族ヤノマミ族の9村287人の髪を検査したところ、全員から水銀が検出された。そのうち11%はWHOの閾値を超える「高レベル汚染」だった。採掘現場に近い村ほど水銀レベルが高かった。