金はブラジルの巨大ビジネス

 英チャンネル4ニュース(11月10日付)は、アマゾン奥地で先住民族がライフルを手に違法金鉱に向かう様子を伝えている。目的は先住民族の土地を破壊する不法採掘者を追い払うことだ。保護区にもかかわらず、先住民族の土地は組織的暴力と搾取にさらされてきた。

 生計のため売春を強いられる女性もいる。先住民族が武装して接近したことを察知した不法採掘者は姿を消していた。金の採掘はブラジルの巨大ビジネスだ。ブラジルで取引される金のうち、ほぼ半分に不法採掘起源の疑いがあると指摘されている。

ブラジル・パラー州イタイツーバ市クレプリザン近郊のアマゾン熱帯雨林の伐採地にある違法金鉱で作業する採掘者ら=2017年8月撮影(写真:ロイター/アフロ)

 アマゾンではすでに数千ヘクタールの森が掘り返されている。

 不法採掘者が舞い戻るのを防ぐため、先住民族は違法キャンプを焼き払う。金価格が暴騰する中、不法採掘者が再び戻ってくるのは時間の問題。先住民族は不法採掘者と衝突を繰り返し、双方に死者も出ている。警察の取り締まりは断続的で、不法採掘者は何度でも戻ってくる。

 不法採掘者は警察の摘発を逃れるため重機や機材を地中に埋め、環境を傷つけている。金の違法採掘が破壊するのは森林だけではない。水銀汚染から暴力組織の資金源化、先住民族コミュニティーの分断まで、その影響は広く、深刻だ。