気候よりも生活費の高騰や雇用を懸念する声

 トランプ政権は資金を止め、締結済みの契約さえキャンセルし、承認された許認可を妨害する。州が独自に交通部門の排出規制を行う権限も阻止しようとしている。「明確に後戻りさせようとしている。トランプ氏は『気候変動はデッチ上げ』とまで言っている」(ベッカー氏)

COP30が行われているブラジル・ベレンの会場前に設置された、少年の肩の上に乗るトランプ像(写真:ロイター/アフロ)

 カリフォルニア州のキャップ&インベスト制度の45年までの延長は気候行動のロードマップ。年40〜50億ドル規模の資金を生み、緩和だけでなく適応・強靱化にも投じられる。「トランプ政権の妨害は脱炭素化の勢いを鈍らせても止めることはできない」(ベッカー氏)

 同州の約3分の2がクリーン電力。30年までに85%に到達する見込みだ。今年前半、10日のうち9日間、平均7時間にわたり100%クリーン電力を達成。蓄電池は17ギガワットで19年比の21倍。今年第3四半期、新車販売の29%をZEV(ゼロエミッション車)が占めた。

 気候よりも生活費の高騰や雇用を懸念する声について、ベッカー氏は「生活費の問題は確かに存在する。英国やフランスなど欧州も同様の課題を抱えており、世界共通だ。クリーンエネルギー自体は安くなったが、電気料金は高い。主因は山火事コストだ」という。