9月にサブプライム自動車ローンを扱う米企業が破綻
金融市場では現在、企業評価において、どこまで積極的にAI関連投資をしているかを非常に重視している。ただし、今、高い評価を受けている企業が、年金の積立期間のような長期にわたって高評価を受け続けるかどうかは分からない。とすれば、どこかで何らかの調整が起こると考えるのが筋だろう。
最近、金融市場の過熱を示唆しているように思われるアネクドーツが散見される。
例えば、9月に米国でサブプライム自動車ローンを扱うトライカラー・ホールディングスが破綻した。この企業はその自動車ローン債権を裏付けとした資産担保証券を発行しており、破綻によってその価値は急落した。米国の大手銀行であるJPモルガンチェースもここへ融資しており、貸し倒れ損失を出しているようだ。
また同じ月に、米国の自動車部品メーカーであるファーストブランズ・グループが破綻した。売掛金を現金化するファクタリングを多用しており、蓋を開けてみると、その現金化した額が実際の売掛金の額を大幅に上回りそうだとのことだ。加えて、買掛金の支払いを金融機関が立て替えるという仕組みも使っていたようで、この破綻の負の影響が拡がっている。日本の金融機関や商社に関連するリース、ファクタリング会社にもその影響が及びそうだ。
こうした話はまだ個別のアネクドーツに過ぎず、大きな混乱が起こると判断する材料にはならない。しかし、20年前もそうだったのである。
最初は散見されるだけだったアネクドーツが、どこからかを境に全面的な金融危機へと展開した。今回、危機と呼ばれるような調整が起こるかどうか、正直なところ全く分からないが、これらは何らかの調整の先駆けなのかもしれない。これが嫌な感じがする背景の3つ目だ。
さらに、日経平均5万円などという株価の水準は、バブル崩壊後の不良債権処理の時期を現役としてずっと過ごしてきた身からすれば、仰ぎ見るような高い水準だ。